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5分でわかる!シリコーン粘着剤「PSA」徹底解説

2025年12月16日

製造業、とりわけ電子・半導体・光学分野では、デバイスの高機能化・高集積化が進むにつれ、使用環境や製造プロセスが年々過酷になっています。具体的には、

  • リフローや熱処理工程に代表される高温プロセスへの対応
  • 微細化・高精度化に伴う材料信頼性・再現性の確保
  • シリコーンゴムやフッ素樹脂など、従来は接着が困難だった低表面エネルギー材料の増加

といった課題が顕在化しています。こうした要求に対し、従来主流であったアクリル系粘着剤では、耐熱性・耐久性・被着体適性の面で限界が見え始めているのも事実です。その代替・補完技術として近年あらためて注目されているのが、シリコーン粘着剤PSA(Pressure Sensitive Adhesive:感圧接着剤)です。シリコーンPSAは、シロキサン結合に由来する分子構造の安定性により、

  • 高温下でも粘着特性が大きく変化しにくい
  • 紫外線やオゾンなどの環境因子に強い
  • 低表面エネルギー材料に対しても実用的な接着力を発現できる

といった、工程用途・高信頼性用途に不可欠な特性を兼ね備えています。今回は、粘着剤を初めて扱う技術者・購買ご担当者様や、アクリル系PSAからの置き換えや併用を検討されている方を対象に、「5分で全体像がつかめる」ことを目的として、シリコーンPSAの材料特性、適用分野、選定時の考え方を中心に解説していきます。

そもそも粘着剤とは?

シリコーン粘着剤を理解するためには、まず「粘着剤」という材料そのものの特性を正しく把握することが重要です。一般的な接着剤との違いや、粘着剤が成立する技術的な考え方について整理します。

粘着剤とは、軽く圧力をかけるだけで被着体に接着し、常温で即座に実用的な接着力を発現する接着材料の総称です。一般的な接着剤(構造用接着剤など)のように、化学反応による硬化や加熱工程を必要とせず、貼り付け後すぐに使用できる点が大きな特長です。技術的に見ると、粘着剤は以下の3つの要素を同時に成立させることで機能します。

  • 初期粘着性(タック):軽い圧力で被着体表面になじみ、接触面積を素早く広げる性質
  • 保持力(コヒージョン):貼り付け後にズレや剥がれに抵抗する、材料内部の凝集力
  • 剥離性(リリース性):必要なタイミングで、被着体を損なわずに剥がせる特性

これらは互いにトレードオフの関係にあり、粘着剤は粘弾性材料としての設計バランスによって、用途ごとに最適化されています。また粘着剤は、被着体表面の微細な凹凸に追従して密着することで接着力を発現します。そのため、

  • 表面粗さ
  • 表面エネルギー
  • 表面の清浄度(汚れ・油分・離型剤の有無)

といった被着体側の条件に大きく影響される点も、技術的に重要なポイントです。

粘着剤が使われる代表的な用途

粘着剤は「貼る・剥がす」を前提とした幅広い分野で使用されています。

  • 各種粘着テープ(一般用途から工業用途まで)
  • ラベル・シール材
  • 光学・電子部品用の保護フィルム
  • 製造工程におけるマスキング材・仮固定用途

これらの用途では、作業性の高さ、工程短縮、部材へのダメージ低減が重視されるため、粘着剤は不可欠な材料技術となっています。

PSAの基本構造と設計思想

粘着剤の性能は、単一成分で決まるものではありません。複数要素の最適設計によって性能が決まります。

  • ベースポリマー:粘着剤の骨格となる材料
  • 粘着付与成分:初期タックや保持力を調整
  • 各種添加剤:耐熱性・耐候性・加工性を補強

これらの配合バランスにより、

  • よく貼れる
  • 剥がしやすい
  • 高温でも劣化しにくい

といった特性がコントロールされています。

シリコーン粘着剤PSAとは

シリコーン粘着剤PSAは、ベースポリマーにシリコーン(シロキサン結合)を用いたPSAです。一般的なアクリル系PSAと比較すると、材料コストは高くなるものの、他の材料では代替できない性能領域をカバーできる点が最大の特長です。

比較項目アクリル系PSAシリコーンPSA
耐熱性~150℃程度ー50~200℃対応可能
耐候性・耐UV
低表面エネルギー材料
糊残り条件により発生非常に少ない

シリコーンPSAが選ばれる4つの理由

シリコーン粘着剤PSAが多くの高機能用途で採用されているのには、明確な理由があります。本章では、特に重要な技術的特長を4つの観点から整理します。

1. 高温環境下でも安定した粘着性能

シリコーンPSAは、高温下でも分子構造が安定しており、

  • リフロー工程
  • 高温乾燥工程
  • 熱処理前後の仮固定

といった用途でも粘着性能を維持します。

2. 貼り付きにくい材料への対応力

シリコーンゴムやフッ素樹脂(PTFE、FEPなど)は、表面エネルギーが低く、一般的な粘着剤では接着が困難です。シリコーンPSAは、これら難接着材料への数少ない有効解となります。→SilGrip™PSA HP20

3. 優れた耐候性・耐薬品性

紫外線、オゾン、各種薬品に対しても安定しており、

  • 屋外用途
  • 長期使用部材

においても性能劣化が起こりにくい特長があります。

4. 剥離後の美観・清浄性

剥がした後に糊残りが少ないため、光学部品や、精密デバイス・表面品質が重要な部材などの分野での応用が考えらえます。

モメンティブ社のシリコーンPSAについて

数あるシリコーン材料メーカーの中でも、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズジャパン合同会社粘着剤分野、シリコーンPSAで長い技術的蓄積を有しています。

  • 幅広い耐熱グレード
  • 溶剤型・無溶剤型の製品群
  • 安定した品質と供給体制

用途・工程条件に合わせた柔軟なグレード選定が可能です。

初めて検討する際のチェックポイント

シリコーン粘着剤PSAは高機能な材料である一方、用途条件の整理が重要です。本章では、初めて検討される際に押さえておきたい実務的なポイントをまとめます。WEBからお問い合わせいただく際は、以下を整理していただくとスムーズです。

  • 使用温度条件(常温/高温)
  • 被着体の材質・表面状態
  • 一時固定か、長期貼り付けか
  • 必要な粘着力・剥離性
  • 規制・安全要件の有無

安達新産業株式会社の強み

材料の性能を最大限に引き出すためには、製品選定だけでなく技術的な伴走が不可欠です。安達新産業株式会社は、モメンティブ社の特約店として、材料知識と用途理解の両面からサポートを行っています。

  • 用途・工程ヒアリング
  • 最適グレードのご提案
  • 試作・評価段階での技術相談
  • 量産開始後の物流サポート

「どのシリコーンPSAを選べばよいかわからない」という段階から、お気軽にご相談いただけます。

まとめ|押さえるべきポイント

シリコーン粘着剤PSA検討時の指針としてご活用ください。

  • PSAは押すだけで接着する実用性の高い接着技術
  • シリコーンPSAは耐熱・耐候・難接着材料対応が最大の強み
  • 高付加価値用途では不可欠な材料
  • モメンティブ製品 × 安達新産業の技術サポートで安心

シリコーン粘着剤PSAの導入・検討は、ぜひ安達新産業株式会社までお問い合わせください

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