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縮合型(湿気硬化型)・付加型などシリコーンタイプの解説

2026年06月15日

─ シリコーン接着剤・ポッティング剤の選定に迷ったら、まずここから ─

シリコーン接着剤やポッティング剤は、耐熱性・電気絶縁性・柔軟性に優れ、電子機器・自動車・医療機器など幅広い分野で採用されています。しかしその種類は多岐にわたり、「縮合型(湿気硬化型)」「付加型(熱硬化・UV硬化)」「UV硬化型」など、それぞれ硬化メカニズムも特性も大きく異なります。

購買部門にとっては「何を基準に選べばよいか」、技術部門にとっては「自社プロセスに合うか」が共通の課題です。主要なシリコーンタイプを体系的に整理し、それぞれの特徴・メリット・注意点を解説します。

第1章 シリコーン材料の基本構造と特長

1-1 シリコーンとは何か

シリコーン(シロキサン)は、ケイ素(Si)と酸素(O)が交互に結合した主鎖(Si–O–Si結合)に、メチル基などの有機基が側鎖として付いた高分子化合物です。この独特の主鎖構造が、シリコーンに以下のような優れた特性をもたらします。

  • 広い使用温度域:一般的に −60℃〜200℃(グレードによっては300℃超)
  • 高い電気絶縁性:電子基板の防湿・絶縁用途に最適
  • 耐候性・耐オゾン性:屋外・過酷環境でも劣化しにくい
  • 生体適合性:医療・食品接触用途にも対応グレードあり
  • 低表面エネルギー:撥水性・離型性が高い

1-2 シリコーン接着剤とポッティング剤の違い

「シリコーン接着剤」は主に部品の接合・固定・シールを目的とし、「ポッティング剤(封止剤)」は電子部品全体を樹脂で包んで保護することを目的とします。どちらも硬化メカニズムは共通するタイプが多く、用途や要求物性に応じて最適なタイプを選択します。

Momentive社はRTV(Room Temperature Vulcanizing:室温加硫)という製品名称を用いており、「RTV+数字」や「TSE・TIA」などの品番でシリーズが展開されています。縮合型・付加型いずれも豊富なラインナップを持つ総合シリコーンメーカーです。

第2章 縮合型(湿気硬化型)シリコーン

2-1 硬化メカニズム

縮合型シリコーンは、大気中の水分(湿気)と反応して硬化する最も一般的なタイプです。表面から硬化が始まり、時間をかけて内部へと進行します(外部から硬化)。

硬化の副生成物として、アセトキシタイプはアセトン、オキシムタイプはオキシム、アルコキシタイプはアルコール、アミノタイプはアミンをそれぞれ放出します。この副生成物の種類が、腐食性や臭気に影響するため、用途に応じた選択が必要です。

2-2 主な特長とメリット

  • 一液性で扱いやすく、開封後すぐに使用可能
  • 常温硬化のため特別な設備が不要
  • コスト面での優位性が高い
  • 各種被着材(金属・ガラス・プラスチックなど)への接着性

2-3 注意点と制約

縮合型で特に注意すべき点が「深部硬化性の限界」です。肉厚のある閉断面や内部への硬化は、湿気が届かないため不完全になります。一般的な適用肉厚の目安は10mm以下とされています。また、副生成物による素材への影響(特に電子部品への腐食リスク)も考慮が必要です。

【表1】縮合型サブタイプの比較

サブタイプ副生成物主な特徴
アセトキシ型酢酸(酢臭)金属腐食に注意
オキシム型オキシム腐食性低・電子部品用途に適合
アルコキシ型アルコール低臭・中性・樹脂・塗装面に好適
アミノ型アミン接着性良好だが臭気に留意

2-4 Momentive製品例(縮合型)

Momentive社の縮合型シリコーンの代表製品として、精密用途向けの「SilTRUST TN5015-G」をご紹介します。

■ SilTRUST TN5015-G(縮合型・一液・精密用途向けRTV)
精密用途向けに設計されたSpecialty RTVシリコーンです。湿気硬化型(縮合型)の使いやすさを保ちながら、一般品では対応が難しい精密・高純度要求の用途に対応した製品です。

【主な特長】
低収縮(Low shrinkage):
 硬化時の寸法変化が小さく、精密部品や微小間隙のシールに適します。
高純度(High purity):
 不純物が少なく、半導体・光学・医療関連部品など汚染を嫌う用途に対応。
速硬化(Fast curing):
 湿気硬化型ながら比較的短時間での表面硬化が可能。

【用途例】
 精密電子部品のシール・固定、光学デバイス周辺の封止、高純度が要求される医療・半導体関連用途

第3章 付加型シリコーン(熱硬化・UV硬化)

3-1 硬化メカニズム

付加型(付加反応型)シリコーンは、ヒドロシリル化反応によってビニル基とSiH基が反応し硬化します。副生成物を発生しないことが最大の特徴であり、精密電子部品・半導体・医療用途に適しています。エネルギー源により「熱硬化型」と「UV硬化型」に大別されます。

3-2 熱硬化型付加反応シリコーン

白金触媒の存在下で加熱することにより硬化します。通常100〜150℃で数分〜数十分での硬化が可能で、量産工程への組み込みに適しています。

  • 副生成物なし → 電子部品・半導体封止に最適
  • 一液型・二液型どちらも展開あり
  • 硬化後の物性が安定しており、品質管理が容易
  • 注意点:硫黄・錫・ポリアミン系物質による触媒被毒リスクあり

3-3 UV硬化型シリコーン

紫外線照射により短時間(数秒〜数十秒)で表面硬化します。生産効率の向上・工程短縮に有効です。ただし、紫外線が届かない部位(シャドー部)は硬化不足となるため、形状への配慮が必要です。

  • 即硬化・インライン生産に対応
  • 省エネルギー・環境負荷が低い
  • シャドー部硬化の対策として、熱・湿気によるデュアル硬化型も存在

3-4 一液型と二液型の違い

付加型には一液型(主剤・硬化剤を混合済み、冷蔵保管が必要なものが多い)と二液型(使用直前に混合)があります。二液型は可使時間(ポットライフ)を確認した上での管理が必要ですが、保管安定性に優れます。

3-5 Momentive製品例(付加型)

付加型シリコーンの代表製品として、一液タイプの「TSE322」と二液タイプの「SILCOOL TIA216G」をご紹介します。

■ TSE322(付加型・一液・加熱硬化型シリコーン接着剤)
淡青色、流動性の一液加熱硬化型シリコーン接着・シール剤です。
100〜180℃の加熱により5分〜2時間で短時間硬化します。

【主な特長】
・高接着力タイプ:
 金属・プラスチック・セラミックス・ガラスなど多様な素材に接着。
 熱膨張係数の異なる異種材料間の接着に特に適します。
副生成物なし:
 付加型(面接着)のため硬化副生物を発生せず、電子部品への悪影響がありません。
・UL94HB 認定品:
 難燃性の規格認定を取得しており、電気・電子機器向け用途への採用実績あり。
・一液型のため計量・混合作業が不要で、工程管理がシンプル。

【用途例】
ハイブリッドICの基板とケースの接着、
コンデンサー等電子部品の防水・気密シール、
各種回路部品の防振固定、
自動車モジュール・パワーウインドウ、プリント回路基板
■ SILCOOL TIA216G(付加型・二液・放熱絶縁ポッティング剤)
電気電子部品の放熱・絶縁封止を目的とした二液付加型の液状シリコーンゴムです(SilCoolブランド)。 A成分とB成分を1:1(重量比)で混合し、室温または加熱により柔らかいゴム・ゲル状に硬化します。

【主な特長】
・放熱性と電気絶縁性を両立:広い温度範囲(−40〜+150℃)で安定した放熱
・絶縁性能を発揮。
・柔軟なゴム・ゲル状硬化物:各種ストレス(振動・熱衝撃など)から部品を保護。
・耐熱性・耐寒性・耐候性に優れ、厳しい環境下での長期信頼性が必要な用途に対応。
・1:1混合のため計量・混合が容易で、自動混合ディスペンサーとの親和性が高い。

【 用途例】
パワーモジュール・インバーター・コントロールユニットなどの放熱封止、
電気自動車(EV)・産業機器の電装部品ポッティング、発熱デバイスの絶縁コーティング

第4章 タイプ別の選定ポイントと比較

4-1 用途・工程別の選択マトリクス

以下の比較表を活用することで、用途・工程条件に合ったシリコーンタイプを絞り込めます。

【表2】シリコーンタイプ比較一覧

比較項目縮合型(湿気)付加型(熱)UV硬化型
硬化エネルギー大気中湿気熱(100〜180℃)紫外線
硬化速度遅い(時間〜日)速い(分単位)最速(秒単位)
副生成物あり(要確認)なしなし
深部硬化困難良好不可(影部)
設備コスト低い中程度中程度
電子部品適性△(要選択)
Momentive代表品TN5015-GTSE322(一液) TIA216G(二液)

4-2 購買部門視点の選定ポイント

  • 一液型縮合型(TN5015-G など)は保管管理が容易でランニングコスト低 → 精密・高純度用途にも対応
  • 一液加熱硬化型(TSE322)は計量・混合不要で工程がシンプル → 量産ラインへの導入に適している
  • 二液付加型(TIA216G)はポットライフ管理が必要 → 1:1混合のため計量ミスが起きにくく管理しやすい
  • タイプ変更(例:縮合型→付加型)を伴う切替時は工程・設備の見直しが必要。事前に技術部門と連携を
  • Momentive製品は品番・ロット管理が明確で、品質トレーサビリティが確保しやすい

4-3 技術部門視点の選定ポイント

  • 被着材の種類(金属・ガラス・エンプラ・セラミックス)によりプライマー処理の要否が変わる(TSE322はプライマーレスで多素材接着が可能)
  • 付加型(TSE322・TIA216G)は触媒被毒リスクがあるため、周辺材料(フラックス・ガスケット等)との相性を事前確認すること
  • 放熱ポッティング用途では熱伝導率も選定基準に加える(TIA216Gは放熱性と絶縁性を両立)
  • スペックシートの使用温度域・体積抵抗率・硬度などを購買部門と共有することで、選定ミスを防止できる

まとめ

シリコーン接着剤・ポッティング剤は、硬化タイプによって工程適合性・物性・コストが大きく異なります。主要なタイプと代表的なMomentive製品を改めて整理すると以下のとおりです。

  • 縮合型(湿気硬化型):汎用・低コスト・常温硬化。精密用途には SilTRUST TN5015-G(低収縮・高純度)
  • 付加型・一液加熱硬化:副生成物なし・高接着力・工程シンプル。代表製品:TSE322
  • 付加型・二液(放熱封止):放熱性と絶縁性を両立したゴム・ゲル状硬化。代表製品:SILCOOL TIA216G
  • UV硬化型:高速硬化・インライン化に対応。シャドー部への対策が課題

購買部門と技術部門が共通の「タイプ理解」を持つことが、選定ミスや不具合発生の予防につながります。製品選定の際には、硬化条件・被着材との適合性・副生成物の影響などを事前に確認し、サンプル評価を活用しながら最適なシリコーン材料を見つけてください。

AD-Chemiを運営する安達新産業株式会社はMomentive社の特約店として、各種RTVシリコーンの販売からサンプル提供・技術サポートまで対応しています。製品選定や用途相談はお気軽にお問い合わせください。

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